あたしの居場所

あたしには、何も無い。

ご主人を助ける魔法なんて使えない。
ご主人とたのしくおしゃべりなんて出来ない。

そんなあたしに・・・居場所はあるのかな。

時々、不安になるんだ。



ECO　side episode of MIDORI


『そらかぜ』とは・・・・
もし、ECOの中のキャラクター達が実際に生きているなら。
こんなことを考えてるかもしれない。こんな気持ちなのかもしれない。
うさぎが、そんな「if」の世界を創作してみたものです。
拙い文章ですが、もしよければ読んでやってください。

つい最近のこと。
あたしの『仲間』が見つかったらしい。

あたしは、うれしかった。
菫姉さんや、茜のように『家族』はいっぱいいるけど、
あたしにとって『仲間』はとっても少なかったから。

新しく見つかったあたしの仲間は、今のあたしたちには無い能力を持っていた。
その未知なる能力に、冒険者達は心を躍らせていた。
みんながあたしの仲間の登場を待ち望んでいる。
うれしいな。


（でも・・・・あたしたちは？）


今まで、何も出来なかったあたし達。
菫姉さんや茜の様にご主人を助けられるすごい魔法を使えるわけじゃない。
空姉さんや山吹の様に場を盛り上げることなんて出来ない。

数が少なくて。希少価値があるから、高値で取引されるだけだったあたしたち。
ご主人のそばにずっといたいのに。
ご主人とずっといっしょにいたいのに。
離れることでしか、助けになることなんて出来ないのかな。

（・・・・あたしには居場所なんて無いのかな。）

言い様の無い不安。
うれしかったはずなのに。






でも







「緑ちゃんはそのままでいいんだよ。」

ご主人は、そんなことを言ってくれた。
あたしの気持ちを汲んでくれたのかな？
いつもはそんな事絶対しないくせに。

「・・・・・・ん。」

ちょっとだけうれしかった。
でも、本当はわかってた。

ご主人は、いつだってあたしのことを気遣ってくれる。
いつだってあたしをそばにおいておいてくれる。
アクロニアに着てから、片時も離れたことは無いほどに。

たとえ魔法なんて使えなくたって。
面白いことなんて言えなくたって。

そこに『絆』がある限り
あたしはずっと、ご主人と共に在りたいと思う。
そんなことを思う、新緑の季節。


「さてー！今日は緑ちゃんのお友達をお迎えに行きますかー！」
「・・・・ん、いこ。」